イチロー
ジロー
サブロー
今回は山形県東根市
與次郎(よじろう)稲荷神社
の紹介です。
與次郎稲荷神社ってどんな神社?
與次郎(よじろう)稲荷神社は
東根市六田村に鎮座する小さな稲荷神社です。
だが、小さいからと侮ること勿れ。
この稲荷神社には
人に仕えた狐の伝説
そして
不思議な古代の鳥居
が残されているのです。
與次郎狐伝説
これは與次郎稲荷に伝わる狐の伝説。
昔、秋田藩初代藩主・佐竹義宣が
久保田(今の秋田)に城を建てました。
すると、夢に狐が現れ、
「築城の際に住処を失ってしまったので、
新しい住処をくれ。」
とお願いしてきました。
義宣は願い通り、狐に土地を与えると
狐は與次郎(以下、ヨジロー)
という飛脚に化け、
土地のお礼として義宣に仕えました。
そしてこのヨジロー、
足がとてつもなく速かった。
彼は城から江戸まで往復6日という
人知を超えたスピードで行き来できたのです。
(ちなみに、往復約1000㎞。)
そんななか、
その速さに疑問を持つ者がいました。
そう、宿の男です。
理由は単純、売り上げが減ったから。
六田村の宿主はヨジローを見て
「こいつは狐だ!」
と、
猟師とともにヨジローを殺してしまいました。
すると不思議なことに、
ヨジローを殺した地である六田村では
突然発狂する人間が大量発生!
自分の指を食べはじめたり…
岩に齧り付いたり…。
そんな人が300人ぐらい出てきたそうです。
ちょっとゾンビ系ホラーっぽい話。怖い。
そんなわけで、
命を落とした六田村、
そして彼の住処があった秋田に
ヨジローを祀る神社が二つ建てられました。
そうすると、
この奇怪な現象もおさまったのだという。
今回紹介する與次郎稲荷は、
彼の死後建てられた
二つの神社のうちの一つなのです。
六田の石鳥居
そして、與次郎稲荷の持つもう一つの魅力、
それは六田の石鳥居
この鳥居、
古い鳥居様式を残した珍しいものなのです!

建てられたのは平安~室町初頭あたり!
東北最古レべルの鳥居でも平安時代なので、
相当古いです。
それに、
ただ古いだけの鳥居なら
こんなハイテンションに紹介していません。
注目すべきはその形。
柱が異様に太く、
また穴がポコポコあいています。
こういった形の鳥居は全国で見ても例がなく、
最上地方にのみ見られる鳥居様式です。
かなりの古式であるため、
現在この鳥居が確認できるのは
最上地方に3つだけ。
そのためこれらは、
最上の三鳥居と呼ばれています。
よく地震に耐えてくれた!
また、さきほど
“穴がポコポコあいている”
と書きましたが、
それはこの鳥居が凝灰岩から出来ているため。
ここも面白いポイントです。
凝灰岩とは、
火山灰などが堆積してできる岩石のこと。
気孔が見られる、
加工しやすい、
などが特徴です。
最上の三鳥居はいずれも、
瀧山(りゅうざん)という山に対する信仰、
瀧山信仰の圏内に存在しています。
瀧山も火山性堆積物などによって形成されている山であり、
六田の石鳥居も瀧山由来かもしれません。
鳥居の材質から山岳信仰に結び付く…
なかなか興味深いですね。
ご利益・ご祭神
ご祭神 | ご利益 |
---|---|
與次郎大人之霊 (よじろうおおひとのみたま) | スポーツ上達 交通安全 |
保食神 (うけもちのかみ) | |
応神天皇 (おうじんてんのう) |
祀られているのは
ヨジローこと
與次郎大人之霊(よじろうおおひとのみたま)
保食神と応神天皇も一緒に祀られています。
ヨジローは現在、
健脚の神様とされており、
スポーツ上達
や
交通安全
のご利益があると言われています。
詳しくはヨジロー伝説で書いたので、
こんなもんでいいかな。
神社レポ
六田の石鳥居 おすすめ
狭い道に入りしばらく進むと、
與次郎稲荷神社の入り口があります。
さっそく、六田の石鳥居。

凝灰岩です。これが。

参道と社殿
その後は稲荷神社らしい普通の赤い鳥居や灯篭が続きます。

参道は社殿まで一直線。
脇にいる狐像は真っ白でした。

そして拝殿。


こつちは本殿。

境内社
神社の左側には境内社がありました。
真っ赤な鳥居。


詳しくは分からず。
もっとしっかり見ていれば、
どこかに神名が刻まれてたりしたかもしれない。
アクセス
山形自動車道の東根ICから約10分。
さくらんぼ東根駅 から徒歩で約10分。